【ナポリ編】ビスポークテーラー奮闘記⑭

街並みが映し出すスーツスタイル


平日はキートン、土日はサルトリアクオモもしくはサルトリアヴォルぺでの修行に励む毎日はあっという間に過ぎて行きました。 気が付けば、ナポリでの生活も残りわずか。


ナポリに住んでいて気付いたことがありました。
それぞれの国のスーツの特徴には、その土地のムードや特色が反映されているということです。
例えば、ロンドンには洗練された建物が立ち並んでいます。
色味も白やグレーそしてブラウンの塗装がされており都会的です。街並みと調和した落ち着いた色味と、カッチリと着こなしたクラシックなスーツスタイルはロンドンの街中に相応しく思います。

 

 

         
《ロンドンの高級住宅街、チェルシー》

 

 

 

ナポリには海があり、日差しも強く、建物もカラフルで独創的なものが多々あります。

そんな場所には、リゾートで着たくなるようなリラックス感のある仕立てが似合います。
ラグジュアリーな雰囲気や色柄物もマッチします。

 

 

 

《ナポリの街並み》

 

《サンタルチアの夕焼け》

 

 

 

この様にそれぞれの仕立てや生地感・色味が、その土地に馴染むような仕上がりになっていると思いました。
これもまたLife Artに大切な気付きでした。
その場所にマッチする「引き立て役」としての衣類。


ナポリで生活できたおかげで、土地の雰囲気や街並みを知ることで、得た気付きだと思いました。
元々ロンドンのファッション、そしてテーラリングが大好きな荒川。
Kitonと出会い、幸運にもナポリ工場で働かせてもらうこととなり、
ナポリのテーラーリングの良さを、目で見て肌で感じ学ぶことができました。

現地で学ぶということは、とても特別な体験です。
自分が体験したことは自分だけのものです。
これが自分の自信になり、新しい発想のきっかけになります。

映像で学ぶことや本で学ぶということとはこの点が大きく違います。
このような経験をさせてもらうことができて感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

日本人初!Kiton研修修了

 

Kitonでチーロから学んで作っていたラーサも無事に完成し、最終日となりました。
この日にKitonの在籍証明書をもらうことができました。
なんと日本人では第一号だそうです。

        
《Kitonの在籍証明書。お店にも飾っています。》

   
《キートンの工場長、シルベリオさんから戴いた香水》

 

 

 

みんなとお別れの挨拶を交わし、また会いに来るよ、と誓いました。

Kitonでとても仲良くしてくれたジェナーロは、お別れの際に涙を流して別れを惜しんでくれました。
本当に皆さん素敵な人ばかりで、ナポリでの日々は忘れられない思い出となりました。

そしてこの経験は間違いなく自分の糧となると確信し、帰国。

荒川のKitonでの修行は幕を閉じたのです。


続く。


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